退院後の診察で、医師は患者さんの関節が順調に治ってきていることを確認します。必ず受診しましょう。
こんなときは病院へ連絡しましょう
- 手術した関節の痛みが増してきた場合
- ふくらはぎや下肢の痛みや腫れが気になる場合
- きずぐちが異常に赤くなったり、熱を持ったり、膿や血などが出ている場合
- 呼吸困難や胸の痛みがある場合
股関節にやさしい生活を心がけましょう
人工股関節の脱臼や摩耗を防ぐため、下記のことに気をつけましょう。
- 横座りしない。脚を組まない。
- 股関節はなるべく深く曲げない。やむを得ず曲げる場合は、膝を開くようにする。
- 椅子に坐る時や、立ち上がるときなど、反動をつけずにゆっくりおこなう。
- 柔道やレスリングなど、直接身体が触れるスポーツはしない。
- 転ばないように気をつける。筋力が安定するまでは、外出時には杖を使うとよいでしょう。
より安定した関節にするために
関節の周辺の筋肉がきちんと働くと、関節の安定性が高まります。入院中から、理学療法士や医師に相談し、自身にあった運動をみつけておくとよいでしょう。
術後の脱臼予防
人工股関節は、関節の動きによって脱臼する場合があります。股関節の周辺の筋力がついて新しい関節が安定するまでは、日常生活の動作に注意が必要です。
また、常に気をつけなければならない動作(してはいけない動作)もあります。
人工股関節の脱臼には、前方脱臼と後方脱臼があります。いずれも、臼蓋側(きゅうがいがわ)のカップの縁に大腿骨ステムの一部が接触し、テコの作用によっておこります。手術の方法や人工関節の設置具合、また、患者さんの骨格などによって脱臼しやすい方向が異なります。手術後に医師に確認すると良いでしょう。
前方脱臼 動画 |
後方脱臼 動画 |
危険な動きはさけましょう
- 足は組まないようにしましょう。
- 手術側を上にした横座りはやめましょう。
動画で見る日常動作
良い例 | 悪い例 |
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正座する |
ベッドに腰掛けてものを拾う |
床にすわる |
腰を曲げる |
イスに座る/立ち上がる |
イスから立ち上がる |
靴下を脱ぐ(良い例) |
靴下を脱ぐ(悪い例) |
足の爪を切る・靴下を脱ぐ
- 靴下エイドやリーチャーを使用してもよいでしょう。
- 爪が切りにくい場合は、無理をせず、家族に協力してもらいましょう。
リーチャーを使用する
床に落ちたものを拾うときに便利です。
浴そうの出入り
- 浴そうのふちが高いとき: 浴そうのふちに腰掛けて入ります。手術をしていないほうの足から入り、手術をしたほうの足から外に出します。
- 浴そうのふちが低いとき: 腰掛けずに、手すり等につかまりながら直接入ります。手術をした方の足からまたいで入り、手術をしていない方の足から外に出します。
- 浴そうの中でも、手術した方の股関節を曲げ過ぎないようにしましょう。
横になるとき
- 寝ている時も足を組まないようにしましょう。
- 両足の間に枕などを挟むと安心です。
この情報サイトの内容は、整形外科専門医の監修を受けておりますが、患者さんの状態は個人により異なります。
詳しくは、医療機関で受診して、主治医にご相談下さい。