肘関節の主な病気
関節リウマチ
関節リウマチは、関節に炎症(関節炎)がおこり、腫れて痛む病気です。男女比およそ1対4の割合で女性に多い疾患です。30~50歳前後の発症がもっとも多く、若者から高齢者全般におよびます。原因はまだ明らかにされていませんが、自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)のひとつと考えられています。
関節をおおっている関節包の内側にある滑膜が炎症をおこして増殖し、骨や軟骨が徐々に破壊されていきます。関節炎は手足の指の関節に痛みや腫れをともない、やがて肘や膝、肩、股関節などの関節に広がっていきます。
肘関節に炎症がおきると、肘が腫れてこわばる感じがします。骨びらん(骨がくずれること)がおこり、徐々に炎症が軟骨に広がって軟骨が薄くなり、骨同士がこすれあうにつれて痛みを感じるようになります。さらに症状が進むと、ひどい場合には関節内の骨がつぶれて一体となり、関節がまったく動かなくなること(強直(きょうちょく))もあります。
最も重症なリウマチの症例(右肘)
治療としては、抗リウマチ薬やステロイド剤、痛み止めの薬などの薬物療法や、リハビリテーションなどの運動療法をおこないます。近年では、生物製剤も使用されています。
関節の破壊が進行して日常生活に支障をきたす場合は人工肘関節全置換術などの手術療法の適応となります。
リウマチについては詳しく知りたい方はリウマチ21.infoのホームページ
変形性肘関節症
軟骨にひびが入ったり、すり減ったりして、その結果、痛みや炎症をおこした状態です。原因によって一次性のものと二次性のものとに分類されます。
- 一次性変形性肘関節症:特に原因がなく、長年肘を使い続けたことによって関節軟骨がすり減り、骨が変形した状態です。
- 二次性変形性肘関節症:関節の中で起きた骨折、スポーツによって痛めた後など、ケガが原因で起こる病気です。
進行すると、骨同士がこすれあって表面がデコボコになったり、くぼみができたり、骨棘(骨が増殖して棘状になること)ができます。また、関節包の内側にある滑膜が厚くなって異常な関節掖が分泌されて、いわゆる「水がたまる」状態になり、腫れや痛みが増強したり動きが悪くなったりします。
多くの場合、痛みは肘を動かした時に感じます。また、変形した骨が、肘関節の内側を通っている神経(尺骨神経)を圧迫したり、傷つけたりすることがあります。
尺骨神経が圧迫されると手の薬指と小指が痺れ、ひどい場合は神経が麻痺してしまうこともあります。神経が麻痺すると、手の小指側の感覚がなくなり、手の細かな動作ができなくなります。
手術治療については、変形した骨を削る手術などが行われますが、関節の可動域制限と、痛みが強い場合は、人工関節置換術の適応となります。
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軟骨細胞とその他の成分(繊維成分であるコラーゲン繊維や、ゲル状の物質プロテオグリカンなど)からなっていて、水分量が多いのが特徴です。 関節にかかる体重を吸収して、関節の動きをなめらかにします。
血管、リンパ管、神経が通っていないため、いったん傷つくとなかなか回復しないと言われています。
関節リウマチなどによって滑膜(かつまく)に炎症がおこると、膜が肥厚(厚くなる)したり増殖して、正常に機能しなくなり、さらに、炎症が続いて滑膜(かつまく)の増殖が進むと、徐々に軟骨や骨を破壊していきます。
分泌する関節液(かんせつえき)は粘調度(ねんちょうど)(ねばりの度合い)が低くなり量も増えます。粘調度の低い関節液(かんせつえき)は、潤滑油(じゅんかつゆ)としての役割が十分におこなえなくなります。また、古くなった関節液(かんせつえき)の吸収が追いつかず、関節内に大量の液体が充満して、関節水腫(かんせつすいしゅ)(いわゆる「水が貯まる」状態)を引き起こし、関節の腫れや痛みを増強する原因になります。
滑膜(かつまく)から分泌されて、古くなると再び滑膜(かつまく)から吸収されます。関節内にある関節液の量は関節によって違いますが、正常な膝(ひざ)関節では数mlです。関節に炎症がおこると、粘調度の低い関節液が多量に分泌され、滑膜(かつまく)からの吸収が追いつかなくなります。ひどい場合には関節内の液が30ml程度以上になり、いわゆる「水が貯まった」状態になります。関節の痛みや腫れを増強させる原因になります。
関節液の検査では、その中にある細胞数の増加を知ることで、原因となる疾患の診断をする目安になります。
この反応が正常に機能していると、異物と自分の細胞をきちんと見分け、異物のみを選んで攻撃することができます。しかし、免疫機能に問題が生じると、異物と自分の細胞との区別がつかずに、自分の細胞、つまり自分自身を攻撃してしまうことがあります。このように自分自身を攻撃してしまうことで、様々な病気を引き起こす病気を総称して自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)と呼んでいます。